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★赤沢は、7月下旬白装束で身を浄めた多くの参拝者で活気づき、山々に合唱がこだまし、神秘的な別世界が現在も生まれている。
★赤沢宿は、法華経の聖地、久遠寺,奥の院思親閣から七面山本社への参拝ルート(身延住還)の中継基地として、標高500mの南斜面に存在する信仰登山者の為の宿場町である。赤沢は、「講」と称する同志の集団を対称に経営された。講は、信仰上の志を同じくする人(講員)が集まって作る任意の会で結成され、一緒に参拝したり、代参したりした。 |
それぞれ目的地別に、善光寺講、伊勢講、富士講等があった。講が定宿として指定した指定旅館制度が普及した。参詣した講中が宿舎の印として残していく講中札のことを赤沢では、板マネギと呼んでいる。大阪屋、江戸屋等では軒下にぎっしりと屋号、講名等を記入した同サイズの板が貼り付けられ、1つの建築意匠ともなっている。それは、欅板に朱印、文字は浮彫黒塗仕上げで統一されている。このまちの特徴は建物と自然が一体に融合した建築物である点にある。身延住還(七面街道)に面して建つ講宿は道と通り土間、縁側が一体となって開放的で親密な空間をつくり出している。 |
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それは、室内から外を見る時、まるで自分が外にいるような錯覚を与える。しかも室内に廻した縁側では、外部から全く自由に、外壁部全てが出入口となって、自由に室内へ入る事が出来る。参拝に向かう団体客が一斉に出入りすることをスムーズにする為であろう。さらに、山道の旅は身支度に腰を落として、時間を要する。多くの人が室内で落ち着いて、旅支度をするのに、よく工夫されている。強風時や、冬のシーズンオフになると外側には建具がはめられ、建物は守られる。町や住まいは、地形と機能等の内部要因の必然性により、その命と形を与えられるものである。★写真の大阪屋、江戸屋等では現在も宿泊客を受け入れている(但し大部屋です)朝霧の中で目覚めるのも新鮮な旅が味わえる。 |