商家町と琵琶湖水郷めぐり 近江八幡

             所在地 : 滋賀県近江八幡市新町ほか
            交 通 : JR東海道線 近江八幡駅より近江鉄道バス小幡町下車。
               車 :名神高速道八日市インターより15・

近江平野の中心部、湖東地方にある近江八幡は、実に多様な表情のある味わい深い街だ。近江八幡の特色は、まず第一に秀次の街つくりが古代条里制にもとずく街路計画と共通することである。 条里制とは、古代国家のもとで、耕地を一定の区画ごとに呼称を付して把握するシステムである。それは、縦、横1町毎に碁盤目状に整然と道が造られ道の軸線は、古代の官道である東山道に平行及び垂直に計画された。天下を掌中にした豊臣秀吉でも新都市の建設にあたり周辺と馴染むように古代条理制を継承するような形を町の基本骨格とした事は、大変興味深いことである。新町2丁目付近の町なみは、アイ・ストップに八幡城跡を仰ぎ近江商人の 本宅の町である。
この町から進取の気性に富んだ商人が出て全国的に有名となった近江商人が誕生する。中でも「大文字屋」として蚊帳や畳表を中心に行商した西川家は、江戸長者番付にも名を連ねたほどの豪商であった。この西川家は、現在市に寄贈され、市立歴史民俗資料館として公開されている。
八幡堀のまちなみ景観は、新町のそれと様相が一変する。白壁の土蔵堀の石垣上に並びそのシルエットを水面に映し出している。河岸から石段で蔵へのアプローチが各所で見ら れ、琵琶湖の水運を活用し大消費地、京都、大坂へ米などの生活物資を北陸等の生産地と結び商いしていたであろう当時が忍ばれる。

近世、近江八幡は八幡瓦の産地として有名であり、この瓦は風合いのあるいぶし瓦で、主に城郭や寺社建築の屋根に用いられた高級品が得意である。現在すでに瓦工場はないが八幡堀端に「かわらミュージアム」があり、地域の景観とよく調和している。明治維新後は、又、文明開化の波にいち早く対応し宣教師ヴォーリズを迎えた。彼は近江兄弟社を起こすとともに、ヴォーりズ建築事務所を設立し、各地に多くの作品を残した。 その特徴は和洋折衷建築と目されるユニークなものである。近江八幡に現存する主な作品は、白雲館、近江兄弟社学園、一柳ヴォーリズ記念館、旧近江八幡郵便局、旧近江八幡YMCA会館等でる。
町をはずれて琵琶湖水郷めぐりの船に乗れば、突然、自然のまっただ中の別世界へと導いてくてる。そこは、静寂の中 只、船頭の操る櫓を漕ぐ音と、船べりを打つ波の音のみてある。周囲は、葦の茂みの他、何もなく遥か遠くへ旅しているような気分にしてくれる。

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近江商人と北前船