現在は、平家屋敷(歴史民俗資料館)として公開している。(写真4)
この地には、奇橋として名高い「祖谷のかずら橋」がある。年間数十万人が訪れる観光名所だが実は、もっと奥地に素朴なかずら橋がある。それは奥祖谷二重かずら橋であり(写真5,6)、「祖谷のかずら橋」からさらに山道を車で四十分かかる秘境にある。二重かずら橋の由来となっている長さ四十bの男橋(おばし)と同二十bの女橋(めばし)。仲良く並んでいる。
かずら橋は、祖谷地方独特のつり橋であり、山に自生するツル状の植物、シラクチカズラで作る。作り方は直径八pほどに育ったツルを刈り取り、火であぶって柔らかくする。それを編んで橋にしていく。そもそも、かずら橋は、祖谷に移り住んだ平家が、生活域を広げるとともに追っ手の侵入を防ぐために作ったという説がある。追っ手が近くにきた時に、すぐに橋を壊せるようカズラを使ったというのだ。橋を歩いてみると、足を踏み出す度にゆらゆらと揺れる。足場となる横木の間隔が結構広い。気をつけないと足がはまりそう。十七b下を流れる祖谷川やごつごつした岩が目に入る。足がすくみ思わず欄干にしがみつく。困ったことに欄干もー緒に揺れる。渓谷に架かる橋梁までも自然素材づくしで造ってしまう昔の人々の知恵と努力に敬服する。 |