・不撓不屈の精神で、ただ産物を他の地域で商うだけでなく、その土地の産物を持ち帰り再び商いを行う「諸国産物廻し」が特長で、これは、出先の商場にも経済的貢献をすることで支持され繁栄した。五個荘商人の中村治兵衛家の家訓に「他国へ行商するも総じて我事のみと思わず、其の国一切の人を大切にして私利を貧る事勿れ」とある。近江商人の理念は、「売手によし、買手によし、世間によし」の三方よしの考えに立脚している。社会的貢献の理念が繁栄の要因であろう。
せせらぎを導入した”かわと”
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まちなみ ・一丁角にグリッド化されたみちに沿って川のせせらぎが流れ、錦鯉が、優雅に泳ぐ。豪商達の本宅が並ぶまちなみである。街路のせせらぎから白壁の土塀の下をくり抜き、屋敷内に水を引き込み、屋根を掛け生活用水として洗い場や防火用水とした活用した「川戸」がある。蔵の漆喰壁を保護するために琵琶湖の廃舟を蔵の腰に貼りつけた「舟板塀」が見られるのも特長である。主要な商家に、旧外村宇兵衛家、外村繁家がある。前者は呉服類の販売で全国長者番付に名を連ねるほどの豪商であった。後者は分家で繁氏は文学者として小説「筏」(野間文学賞)はじめ多くの作品を残した。旧中江家は、大陸に13店鋪の百貨店チェーンを所有する百貨店王であったが敗戦と共に消滅した。以上3家共に公開されていて、江戸時代のまちなみや豊かなくらしを垣間見ることが出来る。 |