■大谷は、宇都宮市より、約8kmのところにある町で、この付近一帯から採掘される石を大谷石と呼んでいる。 塀も家も倉も、お向かいもお隣も、大谷石で統一された町なみがある。場所は、宇都宮市の徳次郎町内、関東平野の散居集落である。 以前は、多くの家屋や蔵があったそうだが現在は、この周辺に散在する。意匠・工法に関係なく、建設資材(素材)の統一が図られているだけで美しい町なみ景観が得られる。
■ 大谷石は、火山が噴火し噴出した火山灰や、砂礫(砂と小石)が、海水中に沈澱して、それが凝固して出来たものと言われている。 特徴は、@耐火性にすぐれている。 A石質がやわらかいため、加工が容易であるB見た感じがあたたかく、やさしさがある。そのため、エクステリアには貴重な資材であり、住宅の貼石・石塀・門柱、敷石・石垣・縁石等に用いられている。 (写真右)
■大谷石が本格的に採掘されるようになったのは、明治初めごろからで、石工たちの職人長屋が軒を並ぺ町は賑わった。大正時代に入り米国の建築家フランク・ロイド・ライトが旧帝国ホテルの設計に当たり、大谷石を外観のみならず、メインロビーのインテリアなどに多用し、一躍有名になった。 現在は採掘活動は、ほとんど行われておらず、採掘跡地は、大谷石自然公園として親しまれている。