映画「八つ墓村」の撮影が行われた「広兼家」 |
[映画のストーリー]
尋ね人の呼びかけに応え、辰弥は法律事務所を訪れた。そこには亡母の父・丑松が辰弥を生まれ故郷へ迎えに来ていた。しかし、丑松がその場で悶死、辰弥は美也子の案内で葬式に「八つ墓村」へ向かった。
そこで辰弥を待っていたは、村の富豪・多治見家の跡取りの座だった。そして、奇怪な連続殺人事件が起こっていく…。推理性と情念の絡み合いで独自性を出し、落武者の怨みを現在の秘境へ伝える形で浪漫の世界を描いた名作である。
●出演:萩原健一、小川真由美、山崎努、渥美清 |
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・紅色のまち;紅い屋根瓦は、石州瓦で、冬の凍害を防ぐため、釉薬をかけよく焼かれたものである。その一枚一枚に、赤黒いもの、茶色いもの、黄味がかったのがあり、窯変による様々な変化が一段と甍の群れに趣きを創り出している。まちを歩くと土壁や、柱や格子の木部も赤い、つまり屋根と壁面、まち全体が紅い色に染まっている。吉備高原は岡山県の中央部、中国自動車道の新見IC周辺に広がる標高400〜500メートルの高原地帯である。この地方は、瀬戸内海地方より夏の気温、湿度が低く過ごしやすく、古代より集落が存在していた。 |
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・中世には、銅山が開発され、又副産物として弁柄(ベンガラ)の生産が行われた。これらの生産物の輸送には、吹屋から成羽まで陸路で成羽からは舟に積み替え成羽川から高梁川を経て倉敷、玉島から瀬戸内海に入り大坂、京都へ運ばれた。この運搬に用いられたのが高瀬舟である。吹屋の遠景を俯瞰すると、赤茶色の屋根が続く。街全体が紅い色など赤系統でまとめられている石見地方に少し見られる地域の特色である。
・吹屋の遠景を俯瞰すると、赤茶色の屋根が続く。街全体が紅い色など赤系統でまとめられている石見地方に多く見られる地域の特色である。しかも家々によりその色彩の濃淡があり、木部はほとんど地色となっている家が多くこれが又、まちに深みを感じさせる。このように同一色相の中でトーン(明度、彩度)の変化でまち全体をカラーコーディネイトするとすばらしい町なみが出来ることを実証している。よく見ると、他の色彩が入り込みそうな自動販売機、郵便ポスト、各種看板、空調機の屋外ユニット等にそれぞれ目立たないように工夫が凝らされカラーの統一を乱されない住民の努力が感じられる。 |
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・ベンガラ塗りは、ベンガラとスス(松煙)を混ぜ顔料をつくる。ベンガラは防腐材としての役割の他、表面化粧の効果がある。内部造作材では、ベンガラの上に漆をかけた仕上げも見らる。
集落は地形に沿ったつづら折りの道に従い南に下谷地区がある。ここから曲がりくねった坂を登るとベンガラ豪商達のまち、下町に入り中町では吹屋のまちなみの中心部となる。片山家(本片山)とその分家(北片山、中片山、角片山)一族や長尾家が代表的な民家である。角片山家は、郷土館として公開されている。 |
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