室津
海の宿場町
 所在地 :  兵庫県たつの市御津町室津
     交 通 :  山陽網干駅から神姫バス大浦行き「室津」下車。

室津の地形は、城山(標高51m)を中心に南の海上に伸びる尾根が賀茂神社のある明神岬となって湾をつくり、北側には正法寺山(標高75m)が集落を包み全体として袋状となって天然の良港を造り出している。(写真上)
(写真上)

7世紀に入り古代国家が成立すると、官の道が設置され整備された。官道の中でも、瀬戸内海に沿って走る山陽道は、太宰府と都を結ぶ最も重視された官道であり、米など重量物は海上運送に頼って瀬戸内海は海の官道の役割を担っていた.
徳川幕府は慶長二十20年(1615)に武家諸法度によって江戸参勤を制度化し、宿駅制度を整えた。

 
 五街道など主要な街道は、道中奉行の支配の下に、宿場には本陣などの宿泊施設や運送のための人馬か配備された。播磨を支配していた池田輝放は、室津に茶屋を置いて朝鮮使節や諸大名の宿舎に充てていた。室津には、6つの本陣(紀伊国屋、肥後屋、筑前屋、薩摩屋、肥前屋、一津屋)が設置され“室津千軒”と云われるほど賑わった。本陣はそれぞれ港に面し“本陣大名宿泊部”と庭を挟み“本陣家の居宅部”があった。 集落内部の構成は、全体として湾内の海上を要とした扇型の集落である。海岸線に沿う弓形の一本の通りを中心に、それに並行する山側の通り(岡之町)と、それらに直行する5本の谷筋を緩い勾配で登る通りが裏町を形成している。

現存する代表的な建築物に、旧豊野家(室津民俗館)や旧嶋屋(室津海駅館)などがあり公開されている。豊野家は魚屋と号し嶋屋とともに室津の豪商として知られていた。構えの立派さから脇本陣を勤めたとの伝承がある。表間口七間半、裏口八間半、奥行き六間半の末広がりで三列九室の建物の大きな建築である。この建物は江戸末期あるいは明治の初頭に大改造されたといわれ、二階は造作がなされず未完に終わっている。入口の大戸は滑車とロープで上下する吊り上げ式の2重大戸となっているのが特徴である。 (写真A)旧嶋屋(室津海駅館)は、二階にも船底天井など意匠を凝らした床の間付き座敷が5室ある。 (写真C)

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